「ミキシング入門」 – コレを読んでミキシングの勉強をしました。

「実験的」と評される録音作品がありますが、実際すぐれた録音とはどのようなものでも、数限りない試行錯誤と、それまでなかった新しい発想と大なり小なりの工夫、まさに「実験」の賜物であり、まったくもって決まりきった方法論が通用しない、まことに果て無き世界なのだなぁと、溜息をつくのです。

ミキシング入門

高浪初郎さんの「ミキシング入門」という本。

僕がはじめて4トラック・カセットMTRを買った頃に、京都の本屋で飛びついて買った本です。

当時はとにかく、多重録音、細かく言うと、ビートルズの「Strawberry Fields Forever」の不思議で怪奇な世界に魅了されていて、とにかく4trでなにができるのか!?録音って、ミキシングって、いったいどんなことなのか?というのが渦巻いていました。

それまでは、MIDIによる打ち込みが、とにかく僕の音楽制作の大半を占めていたのですが、ホントにMTR(ヤマハのMT-4X)で世界が変わってしまったのです。とにかくホンマに、あれはヤバい機械でした。その時に出会って、録音する、あるいはPAとして拡声する、という行為がとてつもなくクリエイティブで、現場での試行錯誤の世界であり、演奏したり歌ったりする、パフォーマンス部門との両輪となって、ひとつのアート(かつ、「産業」なのですが)を形作っているのだなぁ、ということが、目の前に鮮明にひろがった本でした。

当時はまだサンレコを購読する勇気もなかったし(笑)

それでも、おなじくヤマハのQY-300なるMIDIシーケンサーと4trを組み合わせて、どんどん自分の世界にどっぷり浸り込んでいった、そんな僕の、灰色がかった青春時代のバイブルであります。

とにかく、(音楽以外もふくめて)音を収録し、それが鳴らされた「犯行現場」から、人々へ伝える役割の、狂おしいまでの追求が伝わる書物。なにより、音を捉え、伝える人間には、レンジの広い鑑賞眼(耳?)が必要であり、作り手であるとともに、すぐれたリスナーである、ありとあらゆるものにアートを感じ、好奇心をくすぐられ、チャレンジし、工夫を重ねることが大事だということを教わりました。

残念ながら、すでに絶版のようですが、音楽に、音に興味のある方はぜひ読んでみて欲しいです。

CD、レコード、テープ、音源データ…あらゆる媒体から再生される情報は、いかに収録され、音として耳にはいってくるのか?

面白いですよ〜。

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