2017-11-29 宣伝動画その4


基準ピッチについて、です。

現代のポピュラー・ミュージックにおいては、というかたとえば市販チューニングメーターや、シンセの出荷時のピッチはA=440Hzとなっております。

まぁ、この話をしだすととても長くなるのですが、「同じ「ラ」の音でも、時代や地域によってかなりの変遷があった」ということで、たとえば現代においても、ポピュラーの現場ではA=441Hzで録音することもあるらしいです。1960年代〜1970年代までの録音でも、たとえばデレク・アンド・ドミノス(エリック・クラプトン)の「レイラ」なんかはA=447Hzくらい(録音後にテープを早回ししたのかもしれませんが)ですし、サイモン・アンド・ガーファンクルの「冬の散歩道」も高いです。

それに対して、ジミ・ヘンドリックスなんかはA=415Hzあたり。これは周波数で考えるというよりも、全体を(A=440Hzよりも)半音下げ、と考えるほうがいいですね。モトリー・クルーや、マリリン・マンソンはA=392Hzつまり全体を全音下げ。ギターやベースの弦の張力と、あとはヘヴィネスの追求というところでしょうか。初期のヴァン・ヘイレンなんかは「適当」に近いですね。約半音下げ。

古楽の世界では、A=415Hzを「バロック・ピッチ」、A=392Hzを「ヴェルサイ・ユピッチ」と称して、だいたいの時代や地域の雰囲気や嗜好を合わせていますが、これもまた前述のように、こまかく時代や地域によって異なっています。バロック音楽を演奏する場合でもA=444Hzで綺羅びやかに演奏することもあるそうです。楽器がいってしまいそうですが…。

動画のなかで出て来るパンテラのチューニングは、A=436Hzとされています。モーツァルトやハイドン先生などの時代の音楽を演奏する時によく使われるのはA=430Hzなので、もうなんだかわからない世界ですが、パンテラの音楽の独特の雰囲気を考えると、基準となる音程のちがい、特にA=440Hzという、馴染みの基準ピッチからの半音きざみから逸脱する音が、音楽の印象がかなり変わるのは事実と言えるでしょうね。

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