デモでも作ろうか その2

今度はオーディオ・インターフェイスのお話。

電気及び電子楽器からライン出力された、あるいはマイクロフォンが音声を電気信号に変換した音声情報は、前回お話した、マイクプリの次に、オーディオ・インターフェイスという機械を通って、デジタル・レコーダー(私の環境の場合は、Mac上で動くLogic ProというDAWソフトウェア)へ送られます。

FireWire_Solo

私が使っているのは、M-AUDIO社FireWire Soloというモデルで、かれこれ10年近く使っていますが、ヘタる気配のない、堅牢でタフなヤツです。

コレはいったい何をするモノかというと、実際は、いくつかの機能がパッケージされたモノなのですが、要の機能は、A/Dコンバージョン。すなわちアナログデータをデジタルデータに変換する作業です。

楽器やマイクから送られてきた信号、あるいはそれらがあらかじめマイクプリによって増幅されてリッチになったもの、どちらも電気信号です。これは純然たるアナログデータで、いわば、紙に描いた絵や、手帳に書いたメモなどと同様のもので、コンピュータなどのデジタル機材で直接扱う事はできません。

これらを、たとえばスキャナやデジカメで撮影して、デジタルデータすなわち「コンピュータで開くことのできるもの」に変換するものが「A/Dコンバータ」であります。

「そんなん、パソコンについてるマイクとかライン入力つこたらええやん」ごもっともです。実際、マシンについているマイクやライン端子はそのまま内蔵のA/Dコンバータにつながっていて、やれデジタルだのアナログだのを気にせず使うことができます。

が、やはりそこはプロ向けオーディオの世界。マシン内蔵のものは、その他の回路からの影響もありますし、コンピュータ自体の機能と共存するために取り付けられているものですので、やはりコストのかかりかたも違いまして、音質などがグッとちがうのです。

さらにオーディオインターフェイスには、様々な機器・楽器より送られてくる色んな種類の信号の抵抗値を揃えるインピーダンスマッチング回路がまずついています。

これは、もちろん前回フィーチャーしたマイクプリにも内蔵されていますが、一般的にはこれも「なにするモンですかそれ?」なんですが、実は電気信号というのは、発せられる際にそれぞれに抵抗値というのを含んでいて、それを受ける側で合わせないと音質が劣化するのです。

例えばエレクトリック・ギターを通常のオーディオ・アンプやパワード・スピーカーにつないで鳴らすと、なにか高域が落ちたモゴモゴと元気のない音になります。

これは、ギターの出す信号と、受ける側の抵抗値がマッチしていないので、信号の持つ電圧が減衰して痩せてしまっているわけです。(理屈はこちら)

そこで、こういった「楽器からの出力をブッスリ直接つなぐ可能性のある機器」の入力部には、アッテネータなどのインピーダンスマッチング回路が用意されています。

楽器や機器からプラグインされ、送られて来た「電気信号となった音声データ(波形)」は、まずこのインピーダンスマッチング回路を通り、必要であれば、これまた内蔵のマイクプリアンプで増幅をかけます。

そうなのです。実はオーディオインターフェイスにも、マイクプリは内蔵されているのです。しかも、このFireWire Soloの内蔵プリアンプ君は、かなりいい音する…

で、そこからA/Dコンバータを通って、デジタル機器(Macとかパソコン)に送られ、操作された内容はまた、D/A変換されて、ラインアウトから音声として、またヘッドフォンアンプを通ってヘッドフォンアウトから出力されます。

また、アナログにそのままデジタル機器に信号を出力するデジタルアウトのある機種も多くあります。

と、こういったモノを介して実は録音が行われておりますが、実は皆さんお使いのiPodなんかにも、こういった機能は内蔵されております。コンバータやプリアンプなどがあってはじめて我々はMP3データを「聴く」ことができ、ボイスメモを「録音」したりすることができるのであります。

でまぁ、高音質で録音・編集などがしたい場合は、外付け機器を使って行くわけであります。

というわけで、わたくし本日もMacBook Proとオーディオインターフェイスとマイク、ギターともろもろケーブル類を担いでスタジオへ向かうのでありまして…

お、重い…

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