ハイレゾ週間

2014-03-09 14.21.06

先週末、大阪の実家へ帰省した際、いろいろとオーディオについて考察したのであります。

実は実家が業態を変え、カフェとして開業する予定なのと、実父が昔々からのオーディオマニアで、部屋にカセットテープやオープンリールテープ、もちろん、ヴァイナル(アナログレコード)もCDも、床が抜けそうなくらいございまして。

で、ここ数年、父はカセットテープの音声をCDに焼く、という作業をずっとやっております。

ソースを買い直せばいいのに、と思うかもですが、これがまた、1990年代にトリオのチューナーからDATに録音し、編集してTEACのテープレコーダーへ記録したエアチェックもので、なかなか良いコンピレーションになっていたり、ソースが廃盤になっていたりで、解説トークなどとあわせてなかなか貴重なものでありまして、せっせと作業にいそしんでおったのですが。

彼は気づいてしまいました。ドルビーをオフにして、あるいは適切なN/Rをほどこしたアナログ録音の魅力に。

FM放送なので、おそらくなんらかのリミッターがかかっている、というのも要素としてあるのではないか、と僕なんかは思うのですが、それにしても気になるのは、CDへ、要は16bit/44.1kHzに変換されたサウンド、ということでしょう。

で、弟とふたりでいわゆる「ハイレゾ環境」の構築を考えている、という旨のメールを去年の暮れあたりから頻繁に受け取るようになりました。そして、興味があるのだが再生環境がなく、かなり未知な内容で、はたして投資するだけの価値があるのか、といったようなことでした。

わたくし程度のジリ貧ミュージシャンでも、現在CPUベースで録音する人間は、日夜楽器のライン・アウトあるいはマイクで拾った音声を、だいたい24bit/96kHzのビットレートで録音したものを聴いています。

その様子は、CDの仕様、要は16/44.1が「冷凍食品」なのに対し「生の野菜」であるくらい、手触り、存在感のちがうものです。そしてマスタリング時に、最終的にCDの「あの音」になることを想定して、できるだけ遜色ないように音を追い込んでいきます。

それは、なんとなくずっとホントに「なんとなく」やっていたのです。どちらかというと、スタジオのニアフィールドモニターやヘッドホンで聴くのが24bitのサウンドで、たとえば製品として購入する音楽ソフトに24bit(これをハイレゾといいます)のものを求めたり、ハイレゾ製品を体験したことがなかったのです。

で、やってみました。実家のパワードスピーカーに、M-AUDIO Firewire soloのアウトをつなぎ、色々と。

まずは、ハイレゾのソースを持っていなかったのと、そもそもの音源のつくり・成り立ちを検証するのもあって、マイクを立ててアコースティックギターの弾き語りで僕が演奏したものを24bitのまま再生、さらに、少しコンプレッサーとリヴァーブで味付けし、24bit→16bit(CD品質)にて検証。

ここで、皆腰をぬかす。

CDの音のフィクションさ加減、といいましょうか、「仕方なくこのクオリティ感」

それに対して、もちろんデジタルリヴァーブやコンプで「演出」を加えているので、ハナからフィクションなんですが、ハイレゾ(24bit)の音源は、まったくリアリティと説得力がちがう…。

さらに、父と弟が購入していた雑誌の付録DVDの音声を様々なビットレートで再生。これがすごかった!

2014-03-09 14.20.23

ビッグ・バンドの演奏なのですが、もうハイレゾのパワーたるや…。

前述のとおり、ハイレゾ製品にまったく触れていなかったワタシ。凄い。そして、何よりもなんとも嬉しかったことは!

「レコードの音がする!」

ということでした。

いや、アレですよ、CDが出た当初は「クリアやな、ええ音するなー」と聴いていたんですよ私。で、それから自分でレコードプレイヤーを発掘して「やっぱりレコードがええな、CDの音はウソやな」とか言ってたんですよ。

が、そういうのが単なるスノッブな態度であったことの実証であるかのように、目の前でドカンとその違いを(それなりの機器で、比較的大きな音量で聴いたというのもあると思います)体験してド肝をぬかれたのです。

その流れが「ハイビット」→「ええ音!!」→「レコードみたい」→「やっぱりレコードってええ音やってんや!!」→「CDって、やっぱり特殊な音だったのだなぁ」みたいなことになりまして、ええ、えらい騒ぎでした。

はい、たしかにかつてラジオで中島みゆきさんがおっしゃっていました。「レコード vs CDみたいな言い方があるけど、この2つはまったく音についての考え方、方向性がちがうものなんですよ、私はどっちが正しいだとかはわからないけど、レコードの音が悪い、というのは間違っていると思う。」と。

これからはハイレゾや、じゃないですが、ニッポン以外ではヴァイナル(アナログレコード)がばんばん売れているという現状であります。中学へあがるまではそれしかなかった「あの音」が、やはり素晴らしい!というのがなんだか嬉しくて。

そして、提供する側である自分自身の不勉強を、たいへん恥ずかしく感じた次第。

カテゴリー: 機材ばなし タグ: , , , , パーマリンク