バックトゥベーシック

昼夜の気温差が微妙だったり、湿度だったり気圧だったりの影響か、地味に体調が悪いベビスネです。

新曲をこつこつとレコーディングしています。先日ライヴでもご披露したものなのですが、とにかくウォール・オヴ・サウンドというか、ギターをたくさん重ねているのですが、24ビット/CPUベースの録音になって、殊エレクトリックギターにかんしては、とにかくラインで生音をなるべく太く録り、歪みも含め、アンプやエフェクトに関しては完全にDSPであとがけ、という手法をメインにやってきました。なんたってミックスの時にどういう音が欲しくなるかわかんないこともあるからね、ってなもんで。

がですね、そのように、工夫してある意味非破壊編集というか、ツブシのきく、選択肢を残すやり方でやってきたものの…。ほとんどの部分を古来からの方法で作っているゴキゴキのオールドスクールおじさんとしては、いまいち使い勝手が悪い、というか、別に音決めて録ってもそんなに変わらない、というか欲しい音のヴァリエーションなど、この硬化か軟化かしらんがくたびれてスの入った脳の中にはそんな柔軟さはない、ということに今更ながら気づいたのであります。「さあ」と思ってから、あらためてプリセットを全部聴くだけで脳がスポンジ化します。

特にリードソロに関しては、結局キメのサウンドというか、ホントにもうワンパターンで自分でも涙目なんですがね、結局同じ音に戻ってくるのですね。

そこで、そのベビスネ・シグニチャー・トーンともいうべき(偉そうですんません、たいしたことないです)サウンドの中核をなす、というかこれにプラグインしてあとはマーシャルのパワー部へドカン、あるいはJC120のリターン、スピーカーエミュ、メンドクサイときは卓へダイレクト!で、もうイイのです。お手軽です。という機材がコレ。

TECH21 SansAMP GT2
2014-06-14 GT2

今も昔も、ベビスネサウンドの中核を担うのは(意外とマーシャルでもチューブスクリーマーでもなくて)このSansAMP GT2でございます。なんてことはない、高価でもレアでもなく、どこでもフツーに売っている(しかも最近は回路図まであって、自作もできるという)名作プリアンプ。これはもう、秀逸というかアレとかアレとか、アノ人の音とか、かなり手軽過ぎに作れてしまうのです。マーシャルよりもマーシャルっぽい。色んな人に「音いいね」と言われる時は、必ずコレを使っておりました。つかかれこれ20年ちかく使っております。しかもフルアナログ回路だったはず。

ポイントはどこまでも歪んでいくハイゲイン・サウンド。でも、「ザリザリ」と割れていくのではなく、「シャー」っと潰れて、サチュレーションというか、独特の圧縮感が、ホンモノの真空管よりもさらに若干誇張されていて、これが実にイイのです。アンプそのものというよりは、アンプにマイクを立てて、エンジニアがきっちり「録った」音の素になって出てくるとでもいいましょうか。

特にハイゲインのマーシャルに関しては、ホンモノよりホンモノっぽい。歪みとサスティンが、ネバっこいネバっこい。そしてまったくラインの音に聴こえない。

傾向としてはハイミッドの密度が高いなんというか、巨匠ジョージ・リンチ的といいましょうか…コレを私が自分でスタジオのマーシャルでやろうとすると、どうしても独特のブーミーな部分が鳴りすぎて手におえない事が多いのです。真空管の種類にもよりますが。あ、もちろん、あの成分がマーシャルの「ブリティッシュ」な部分ではあるのですよ、それはわかってます…。

ホンモノの真空管の音は、またそれはそれで違うのですが、チューブアンプは個体差が大きいですし、自分のマーシャルを運ぶのはそれだけで1日終わりそうなくらい重いですし。

まぁ、ただ空気の音が目一杯欲しいこともあるので、そのうち、ケースにGT2を通した小型のアンプを入れてマイキングしたりは試みる予定です。はい、宅録ですし。

ということで、DSPのレイテンシからちょこっと開放され(もちろん、サウンドによってはDSPのエミュも使います)またこの古女房とサウンドを作りこんで行こうと思います。(また1曲につき20本とか重ねるのかな…それはもうしないつもりだけど…。)いや〜、けだし名機。ノイズの王様ではありますがね…。むかし都雅都雅のサウンドマン氏に「S/Nが悪いというか、むしろN/Sが良いって感じだな」と言われたことがあります。

ところで、色んなところを見てみると、このコンパクトペダルシリーズのSansAMP、いろんな機種が出ていて、GT2も現役なのですが、どのレビューを見ても圧巻の高評価(ただしノイズに関してはのぞく)で、内容としても私の意見と似ていて、要はデジタルのエミュレーションにある、独特の手から離れてしまっているような感じ、すごくフィクションな感じがなくて、血とか肉とかが伝わる感じと、たとえばレクチならまんまホンモノのレクチではなく(いやそれはムリなんですけど)レクチで弾いて作られた録音物のあの感じ、マーシャルなら、マーシャルを好きな人が弾くと絶対カッコいいと思える音、というチューンナップになっているところのようです。

あと、皆さんやっぱり「だいたいどこにでもあって、現場でいちばんレンジが広くて、ある意味個性を消せるのが個性」なRoland JC-120をいかに自分の好みのチューブアンプに化けさせるか!?という感じですね。私もそうです。マーシャル持っていくの重いし。

個人的にはSansAmp Oxfordと、Leedsと、Liverpoolが気になる…。GT2はクランチはそんなに(セッティングにも依るかもしれないけれど)色っぽくないですから。あとはBlondeとBritishと…全部だ!全部買ってもアンプ1台ぶんくらいだ!

GT2 Amazonだけど、買うならサウンドハウスのほうが安いかな。

Classicは、80’sクリムゾンのレコーディングに使われて有名になったんだったと思います。

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