R.I.P. – H.R. GIGER

先日、このサイトの仕切り直しとして、先日の投稿で所有の「H.R.ギーガーの画集」ということで、「ネクロノミコン」の表紙をアップしたところだったのに…。

スイスの画家、ハンス・ルドルフ・ギーガー氏が、この5月12日に亡くなりました。

Screenshot of www.rollingstone.com

ごく個人的なことなのですが、僕自身のなにか「目覚め」というか、イニシエーションだったのです。ギーガーの絵は。

黒魔術的なものに積極的に関わったわけではないものの、ちょうど中学の終わりから高校生くらいのころ、角川書店から連発されるファンタジーものの系列、ドラゴンクエストなどのコンピュータゲームなどで、幻想世界の扉を開いた年頃でした。そこに、多分ファンタジー系のムックかなにかでの特集。突然飛び込んできた、なにやら「剣と魔法の世界」とは桁違いに不健全な「アレイスター・クロウリー」「H.P.ラヴクラフト」そして「H.R.ギーガー」は、僕が大人になっていく階段のバックグラウンド・ノイズとして、不気味な通奏低音を奏で続けることになったのです。

同時期に僕とともにあった「バレーボール(部活)」「美術手帖の表紙やスタジオ・ボイスで出会ったロバート・メイプルソープ」「エイジアン・ポップの旗手ディック・リー」と比較しても、ギーガーの作品といっしょに入ってきた世界は、激烈なトーンの変化を含んでおり、またとてつもなく魅力的であり続けました。ラヴクラフトを読み、ギーガーの絵を求めました。

思えば、それからゆっくりとハードロック/ヘヴィメタル、そしてプログレッシヴ・ロックへ音楽の嗜好がグイグイと傾倒していくことも含め、運命的な出会いでした。小遣いから買った5,000円以上する「ネクロノミコン1」なる画集には、作品だけでなく、たくさんのテキストも含まれており、彼のパフォーミング・アーツとのかかわりを知り、サルヴァドール・ダリや、シュルレアリストたちの世界への再入門になった部分もあります。もろもろ、こじらせて「ネクロノミコン2」まで買っちゃいました。

そして…

鉛筆やエアブラシで、ずいぶんと長い間、彼の背中を追いかけました。

また、多くのロックミュージシャンがそうだったように、ミニマルな音を構築して不気味かつ美しい世界を構築する手法を、彼の作品から音楽にトランスレートすることに没頭し続けました。

極彩色なモノクロ。下世話で高潔。悪趣味で耽美。

尊敬、あこがれ、そして偉大な作品たちへの賞賛。どれも惜しむ余地はありません。

どうぞ、安らかに。いえ、さらに活力や色彩に満ちた、地獄で、さらなるアートと戯れておられるかもしれません。

さらば、H.R.G.

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