アルバム「Abbey Road」のレコーディングデータをさらっていたら出てきた「ボールドウィン・エレクトリック・ハープシコード」というのがあって、なんじゃこりゃ、と。データでは’Because’でポールかジョージ・マーティンが弾いている。単体の音が聴いてみたいなぁと、YouTubeを探すと、あった!
そういえば、クラウス・フォアマン(プラスティック・オノ・バンドや、マンフレッド・マンで活躍したベーシスト。カーリー・サイモンの’You’re So Vain’のイントロの「ベロレロベロレロ」も彼。ビートルズの’Revolver’のジャケ作ったアーティストでもある)のドキュメンタリー「All You Need Is Claus」で、ポールがこれ弾いてたわ。ヒストリカルでもないし、モダンでもないし、なんだろなーと思っていたんだが。
あった!
00:04:00ごろに登場!!
ポールの「Hog Hill Millスタジオ」ですな。アビー・ロード・スタジオにあった楽器、ということは上記クレジットに書かれている実機をポールが買い取ったんですなー。あと、出てこないけど「’We Can Work It Out’のハーモニウムもあるよ!」と言っていますね。
フォアマンはドイツ人だから「チェンバロ」と言っていますね。しかし、ヒストリカルチェンバロ(ぐぐってみたのだけど、細かい情報は得られなかった…)もあるし、メロトロンもMoogもあるし、博物館かココは。
エレクトリック・チェンバロ、ビキビキにディストーションかけて、フィードバックとかさせたら、カッコいいだろうな。
聞いたお話では、その昔ヘルベルト・フォン・カラヤンが、オケでこれか類似のものかを使って大不評だったとか。19-20世紀的なオケにはチェンバロ(おそらくモダン・チェンバロ)は音が小さいことへの苦肉の策だったのでしょうね。
んで、ビートルズに戻ります…では、レコーディングデータ上、単に「ハープシコード」と書かれている「All You Need Is Love」は何なんだろう?どアタマから延々と続くコードの四つ打ちはたしかにチェンバロの音だけど、モダンかな。
で、こんなん見つけました。
ピアノも鳴っているし、ちょいわかりづらいですが、コレを聴くと、ジョンのヘタクソな(失礼)チェンバロは、おそらくモダンチェンバロか、そのもの、上記のボールドウィンではないかと思われます。ヒストリカルチェンバロにはないピーク成分が聴こえるのと、ボディ鳴りが聞こえない感じがします。ま、マイキングおよびEQとコンプでどないなったもんかはわかりませんが。
「ラ・マルセイエーズ」に続く流れで、なんとなくおフランス的なテクスチャになりますね。チェンバロ。あ、この文脈だとクラヴサンですか。
面白いなぁ。中世の終わりに生まれたとされるチェンバロ。紆余曲折、毀誉褒貶を経て21世紀でもいろんなカタチでそのサウンドが求められている…懐古的なもの、あるいはまったく新しいもの、両方に。