前回の記事はこちら→「きっと」で作る、バロックギター製作記 #2
そうなんです。肚(はら)の底から心強い助けが現れたことによって、私の製作は開始されたのです。
が、その話の前に…。
まず、何はともあれ、具体的にどういったギターを作るのか、というところから話ははじまります。要するに実際のお手本、具体的に言うと「図面」が必要な世界です。
けしからん事に、わたくしバロックギターの実物というものは、大阪音大の楽器博物館で実物をガラスケース越しにみたことしかありません。あとはYouTubeや、古楽関係の方のWEB上の情報に付随する写真などを見る程度。
なのになぜ、キット改造を思い立ったかと言うと、実はインターネット上には「神サイト」などと呼ばれるものがありまして。
それは、ギターを作る人々には言わずと知れた、「クレーンホームページ」なるウェブサイト。1995年、日本におけるインターネット黎明期より、超弩級の知識をグリグリと放ち続ける伝説のサイトです。
個人的には「神なんちゃら」という言い方は、人の手(と、血と汗と涙)に為されたものにはちょっと抵抗があるのですが、実際、「なにもない」ところへポコっと現れた、神がかっている内容のサイトです。
徒弟制度の分厚いカーテンの奥にあったギター製作の知識、さらにギターそのものの歴史や、現代につながる19世紀ギター、バロックギターなどの知識、さらには弦(なんと、ソーセージケーシングからガット弦を作成)やカポダストなどの周辺知識、どう考えても、図書館へ行ったところで、何を調べればいいのかわからないようなものが満載の宝箱のようなサイトです。
ポイントは、「情報」があるのではなく、「知識」が得られるサイトということです。
私は、今回キットを改造してでもバロックギター、と思った最初の動機は、2002年にこのウェブサイトに出会ったころに植え付けられた「肉の芽」が脳内で育った結果、ともいえます。
そこで私は見つけた(見つけていた)のです。クレーンホームページ管理人の鶴田氏が、オリジナル楽器から採寸した貴重な「18世紀イギリス製のギター」の図面をッ!
私がバロックギターを手に入れて演奏するであろう音楽、それは十中八九、ジョン・プレイフォードの「ダンシング・マスター」なる曲集からのもの、となります。(実はほかにも演りますが、メインはプレイフォードさん)
ダンシングマスターとはなんぞや?というのはこちらをドーゾ→来週はサロン・コンサート〜17世紀イギリスの古い音楽〜茨城県神栖市へエンヤコラ!
そこで、18世紀、しかも英国はロンドンの工房、プレストン製とくりゃあ、まぁピッタリではないか!といったところだったのです。
図面をダウンロードし、Adobe Illustratorで開いて、分割印刷用にトンボなどを追加し、A3のすこし厚い紙に印刷、切り貼りしてみたところ…。
…ウッ!
つづく。
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